『うつろ屋軍師』簔輪 諒

織田信長の重臣だった丹羽長秀に仕える江口正吉は、
城攻めで一騎駆けをするなど、戦となれば武勇を示す一方、
彼の思考は独特であり、周囲からは”うつろ屋”として軽くみられていた。
やがて、本能寺の変が起こり天下の行方を左右する清洲会議の裏で、
長秀と羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)の謀を知らされる。
秀吉にその才能を認められ、数々の戦で成長していく正吉。
しかし、長秀が病没すると秀吉の態度は急変し、丹羽家は123万石の大大名から
4万石の小大名にされてしまった。
長秀の息子で新たな当主となった長重に正吉は筆頭家老として仕え、
丹羽家を守る為にうつろ屋の本領を発揮した戦いを始める…

簔輪 諒さんのデビュー作でもある「うつろ屋軍師」は歴史小説でありながらも
とても読みやすく、歴史小説初心者の方におすすめしたいです。

著者の作品の特徴としては実在の人物ではあるが、
あまり有名ではない人物を主人公にしている。
この本の主人公、江口正吉もそんな人物です。
しかしそんな情報量の多くない主人公を簔輪さんは
物語上で主人公の内情や歴史上における主要人物と上手く絡めさせ、
史実と整合性を保ちながら物語が進んでいくので、読んでいてとても心地が良いです。

また、正吉と長重の主従関係も良く、
普段温厚な長重が内に秘めた思いを正吉に吐露する場面は、
読んでいる僕も胸が熱くなった。

奇抜なアイデアで戦国の世を駆ける江口正吉の生き様を是非読んでもらいたいです。

うつろ屋軍師 – 簔輪 諒 著
販売日:2018/1/12
出版:祥伝社
ページ数:489ページ