『最低の軍師』簑輪 諒

はじめに

今回は、簑輪諒さん著の「最低の軍師」を読ませていただきました。
白井浄三という歴史上ではあまり名前を知られていない軍師の物語となります。

最低の軍師 – 簑輪諒 著
販売日:2017/9/13
出版:祥伝社 
ページ数:439ページ

本書はこんな人におすすめ

・時代小説が好きな方
・これから時代小説を読みたいと思っている方

著者の簑輪諒さんについて

1987年生まれ、栃木県出身。
2014年、丹羽家の敗者復活劇を描いた『うつろ屋軍師』で第一九回歴史群像大賞に入賞しデビュー
同作で、歴史時代作家クラブの新人賞候補となり、時代を捉える独特の視点が高い評価を得る。

内容について

目次

本の内容としては下記の通りとなっています。

序章

第一章 嵐の前

第二章 招かれざる男

第三章 かんなぎの娘

第四章 ありふれた地獄

第五章 救済の技法

第六章 最低の軍師

終章  荒天を倶に戴いて

解説

僕は全てを読み終えるのに3時間程かかりました。

あらすじ

永禄8年(1565)、上杉輝虎(後の謙信)が義を掲げ、
下総国 臼井城しもうさのくに うすいじょうに侵攻を開始した。
総勢15,000人といわれる上杉軍に対し、臼井の兵は2,000人ほど。
後ろ盾となる北条家からの援軍は、わずか250人余りであった。
抗戦か降伏か、意見が対立し揉めている城内をまとめるため、
北条の武将 松田 孫太郎まつだ まごたろうは道端の易者である白井 浄三しらい じょうさんを軍師に仕立てた。
ところが、浄三は想像を絶する奇策を次々と画策していく・・・。

時代背景

本書は永禄9年(1566)に実際に起きた「臼井城の戦い」が物語の舞台となっています。

永禄8年(1565)の11月頃に後に上杉謙信の名で有名になる上杉輝虎が義を掲げ、下総国の交通の要衝にある臼井城(現在の千葉県佐倉市臼井田付近)に侵攻を開始しました。
臼井城の城主である原 胤貞はら たねさだの援軍を行うため、北条家から「松田の赤鬼」「鬼孫太郎」の名で武勇を評されている松田孫太郎が派遣されました。

本書では、孫太郎は上杉の進軍を迎え撃つため行軍を進める途中、道端で倒れていた易者(占い師)である白井浄三に出会うこととなります。

白井浄三について

白井 胤治しらい たねはるは出家して白井入道浄三という名で知られていますが、出生や没年が不明で歴史書でも「臼井城の戦い」でしか表舞台には出ておらず、謎の多い軍師となりますが、著者はフィクションを織り交ぜながら上手に史実と絡めています。

本書では浄三は易者を行いつつ数々の戦で軍師として参戦し、叩き上げでのし上がってきた人物となっています。
しかし勝手に占いを行い金品を要求するなど癖のある浄三ですが彼の半生は壮絶なもので、その経験故に今の浄三を形作っていると読みながら思いました。
しかしそんな彼の奇策で軍神と謳われた上杉謙信を翻弄させる様子は中々痛快なものとなっています。

さいごに

時代小説でありながら、比較的読みやすく僕も続きが気になり、最後まで楽しみながら読めました。
歴史的な資料ではほとんど情報のない人物を、実際の歴史とはねじ曲がり過ぎないように、アレンジが加えられた作品なので、あんまり歴史を知らない方でも楽しく読めるかと思います。

物語の終盤で本書の題名でもある「最低の軍師」の意味がわかると思うので、
結末を知りたい方、興味を持った方は是非本書を手にとって頂けたら幸いです。

最後まで目を通して頂きありがとうございました!

最低の軍師 – 簑輪諒 著
販売日:2017/9/13
出版:祥伝社
ページ数:439ページ