『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』立川談慶

はじめに

今回は落語家の立川談慶さんが書いた「ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語」を読ませていただきました。

本書を読むことで、
・「人の心をつかむ術」を身につけるツールとしての落語
・「日本の文化・価値観」を知るツールとしての落語
・「人間の変わらない本質」を教えてくれる落語

そんな教養としての落語を、今まで一度も落語に触れたことのない人にも理解できるように解説されています。
また、落語の最低限の知識、落語の歴史や話などを知ることが可能です。
そのほかにも伝統芸能の知識を、落語とくらべながらわかりやすく説明されています。

ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語 – 立川談慶 著
販売日:2020/01/07
出版:サンマーク出版
ページ数:223ページ

本書はこんな人におすすめ

・落語について知りたいけど ※1寄席よせに行くのはハードルが高いなと思っている方
・日本の伝統文化を知っておきたい方

※1・・・落語などを行う演芸場

著者の立川談慶さんについて

1965年、長野県上田市(旧丸子町)生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、株式会社ワコールに入社。3年間のサラリーマン体験を経て、1991年に立川談志18番目の弟子として入門。前座名は「立川ワコール」。2000年に二つ目昇進を機に、立川談志師匠に「立川談慶」と命名される。2005年、真打ち昇進。慶應大学卒業の初めての真打ちとなる。

内容について

目次

本の内容としては下記の通りとなっています。

はじめに

第1部 これだけは知っておきたい日本の伝統芸能「落語」

 第1章 これだけは知っておけば間違いない落語の「いろは」

 第2章 はなしの構造と落語家の出世

 第3章 ニュースや会話によく出てくる名作古典落語

 Column1 落語家はどうやって稼いでいるの?

第2部 日本の伝統芸能と落語界のレジェンドたち

 第4章 落語と比べると理解しやすい日本の伝統芸能

 第5章 これだけは知っておきたい落語界のレジェンド

 Column2 意外と多い落語由来の言葉

第3部 ビジネスマンが知っていると一目置かれる落語

 第6章 世界の笑いと落語

 第7章 これを知っていればあなたも落語通!使える落語

 Column3 Youtubeで名人のネタをきく

おわりに

本書は3部構成となっており、1部と2部は落語に関する知識や噺、そのほかの伝統芸能について説明されています。3部については世界の笑いと落語についていくつか抜粋されています。特に3部に上がっている落語が教養的な落語かと思いますが、その落語を知ることで仕事や人生における生き方を学べるかと思います。

そんな内容なので僕も一度読み始めたらスルスルと読んでしまい2時間程で読み終えました。

では、下記で簡単に本書の内容を紹介させていただきます。

落語は失敗図鑑

著者の師匠でもある故・立川談志(7代目)は、「落語は人間の業の肯定だ」と看破しました。
平たく言うと、「人間とは所詮”どうしようもないもの”なのだ」という意味です。
そんな主張を裏付けるように落語には”どうしようもない人”ばかりが登場します。
他人をうまく利用したり、スキあらばただ酒にありつこうとしたり。お金もないのに見栄っ張りだったりなどなど・・・。
もっというと「成功していない人」「ダメな人」「イケてない人」のオンパレードとなっています。

落語の筋書きの多くは、失敗談ばかりだそうです。

「落語」というのは時代が変わってもどれだけ世の中が発展しても変わらない人間の本質を教えてくれます。

落語の原点

落語の起源は、江戸時代初期の1623年、徳川家光が第三代将軍に任命された年に作られた「醒睡笑せいすいしょう」という”笑い話”を集めた作品集だったと言われています。

参考:醒睡笑

この作品に収録されている話は最後に”オチ”がついており、現在でも演じられている古典落語のいくつかの噺の元になっています。
作者の安楽庵策伝あんらくあんさくでんは「落語の祖」と言われています。
そんな「醒睡笑」ですが、彼が仏教を広めるべく考えた「説教の題材ネタ」が詰まった作品となっており、いわば「仏教の聖書的存在」です。

落語の祖は安楽庵策伝ということがわかりましたが、最初の落語家は誰だったのでしょうか?
言い伝えでは、歴史上では有名な豊臣秀吉に仕えた「曽呂利新左衛門そろりしんざえもん」という男性だったと言われております。彼は刀のさやを作る腕利きの職人でしたが、鞘作りだけでなくコミュニケーション能力にも秀でていました。そんな彼を秀吉は気に入っていたそうです。

参考:曽呂利新左衛門

噺の構造

落語の基本構成は「枕」「本題」「オチ」の通りになっています。

和歌でいう「枕詞」にあたる部分。噺の導入として、自己紹介や時事ネタをこれから演じる本題とからめて話す。江戸の風習や時代背景について説明したりオチの伏線を貼ることも多い。

本題メインとなる話。

オチ落語で一番重要な最後を締めくくる部分。「〇〇さんの話はオチがない。」のオチは落語が由来。

上記のような構成となっています。
特に、「枕」をきけば、落語家の腕前がわかるとのことです。ちなみに「枕」はおおよそ4つに分類することができるそうです。

1.「本題」のバックボーンである時代背景などを解説する(昔の慣習や言葉を「本題」で初めて聞かされても、理解し難いことがあるため)
2.お客さんの反応を探る(どのようなネタ、どのような本編のアレンジがウケるか、落語家がリサーチできる)
3.オチへの伏線を張る(噺の最後のオチで「枕で聞いたエピソードは、オチへの伏線だったのか」と気づいてもらえると、感動や笑が増幅する)
4.オチとは逆の伏線を張る(「オチとは真逆のメッセージ」を逆算して「枕」で伝える手法も有効。例えば、親子の情愛がテーマの本題の場合、「親なんかいらない」というエピソードを枕でしておくとお客さんの感動が増す)

落語に人殺しは出てこない

僕が本書を読んでいて、落語に惹かれた部分として、落語には他人を罵ったり、蔑んだりする表現がなく、さらに「人を殺す」というシーンや描写が出てこないという説明に僕的にも良い部分だと思いました。もちろん死にまつわる噺はありますが、噺の中で登場人物が人を殺すというシーンは滅多に出てこないそうです。

本書の終盤で著者の立川談慶さんが記した「笑い」についてのことが僕的にすごく共感できたので、引用します。

今の日本には様々な「笑い」が溢れています。
時折立ち止まって、「その笑いに”品”があるかどうか」を考えてみてください。
差別したり、相手をこきおろしたり、おとしめたり、一方的に傷つけたりといった笑いが、本当に心を豊にしてくれるものでしょうか。
「人として共感できるかどうか」という指標で判断するのも、笑いの価値を測る一つの方法です。

知っておきたい落語

実際に落語を聞いてみるのが落語を理解しやすいと思うので、いくつか抜粋させていただきます。

立川談志(7代目) – 粗忽長屋

古今亭志ん朝(3代目) – 船徳

桂米朝(3代目) – 百年目

さいごに

落語については僕も今までしっかりと聞いたことはありませんでした。落語はただ、面白いだけでなく失敗談から学べる教訓や上手な物言いで面倒毎などをやり過ごすなどの処世術を知ることができることを知りました。もちろん娯楽として聞くのも良いですが、落語で人生における生き方を学ぶのも良いかもしれません。
最後まで目を通して頂きありがとうございました!

ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語 – 立川談慶 著
販売日:2020/01/07
出版:サンマーク出版
ページ数:223ページ